似たようなカバンなのに、
某有名ブランドAのカバンは¥8,900
某ディスカウントストアで売っている Bのカバンは¥4.900
この差って何?
確かにAは有名なブランドだけど、どうしてこんなに値段が違うの?
そんな疑問に 現役バッグデザイナーぽんず がズバリお答えします!!
この記事は次のような人におすすめです!
・良いカバンの簡単な見分け方を教えて欲しい
・値段やブランドに振り回されずに良いカバンを選びたい。
・同じようなデザインのカバンなのに、なぜ値段の差があるのか知りたい。
・カバンに関する知識を深めたい!
- 現役のバッグデザイナー
- バッグデザイナーとして15年以上
- 担当アイテムはスポーツやアウトドア系のバッグ
- カバンの総合情報ブログ「カバンの図書館」運営中
ぽんず♂
YKK製のファスナーを使っているバッグがおすすめ
意外?YKKじゃないファスナーも多く存在する
YKKのファスナーがおすすめって、ファスナーってみんなYKK製なんじゃないの?
そう思ったアナタ!私もバッグデザイナーになる前まではそう思っていました。
ファスナーといったらYKK!
YKKは誰でも一度は聞いたことありますよね!
「ファスナー = YKK」と思われる方が多いのも無理は無く、なんと国内でのシェア率は95%!!
世界でも45%のシェアを誇るファスナー界No.1メーカーです。
ですが、実は意外にYKKのファスナーを使っていないバッグも世の中多いのです。
先ほど95%と言いましたがそれはちゃんとしたファスナーメーカーをカウントした結果であって、名前のない海外製のファスナーはこの数字には含まれていません。多分。
雑誌のおまけでついてくる様なバッグはもちろんですが、割と普通に売ってるバッグでもYKKのファスナーを使っていないことが多々あります。
なんなら某世界的有名スポーツブランドのバッグを以前担当したことがありましたが、取り組みを始めた初期はYKKのファスナーを使っていませんでした。(途中からは使うようになりましたが)
YKKのファスナーを使わない理由は会社によって様々だと思いますが、大体はコストだったり手配の都合上の問題だったりが多いのかなと思います。
YKKファスナーを使いたくても使えない悲しい事情があるのです!泣
YKKのファスナーが良い理由
ちなみにYKKの何がそんなにいいわけ?
よろしい!では次にYKKがオススメな理由を説明します。
検査基準がしっかりしている
スタンダードなYKKファスナーは「JIS規格値」をクリアしています。※特殊アイテムは除く
ファスナーの強度検査にはさまざまな検査方法がありますが、基本的な強度は以下の検査方法によって測定されています。
- チェーン横引強度
テープを横方向に引っ張り、どの程度耐えられるか。 - 開部横引強度
開部を横方向に壊れるまで引っ張り、どの程度耐えられるか。 - 上止部縦引強度
ファスナーを完全に閉じた状態でスライダーを長手方向に引っ張り、引き上げる力に対しどれぐらい耐えれるか。 - 下止部引裂強度
スライダーを下止まで下げ、チェーンを左右に開いて引っ張ることで、下止部が左右の引裂力に対してどの程度耐えられるか。 - スライダーロック強度
スライダーのロックがかかった状態でチェーンを左右に開いて引っ張ることで、スライダーのロック保持力を評価する。 - スライダー総合強度(90°)
スライダーの胴体を固定し、引き手を垂直方向に壊れるまで引っ張り、その引っ張りにどの程度耐えられるか。 - スライダー引手ねじり強度
引手を胴体に対して垂直に立てた状態で一定方向のねじり負荷を加えて、どの程度耐えられるか。
より高い品質のファスナーを生産するために、独自の品質規格を設けているんですね。
デザインや種類が豊富
下記で説明する基本3種のファスナーの他、デザイン性や用途を絞った専門的なファスナーもあります。
デザイナーの細かい要望を叶えてくれるデザインに特化したファスナーや工業用に特化した超ハイスペックファスナーなどが豊富にあり、様々なニーズに応えた製品が選び放題です!
流石にここでは紹介しきれないので、気になるという奇特か方はYKKのHPでぜひご覧になってください。
YKKのファスナーの見分け方
スライダー or 引き手に「YKK」の刻印がある
どこを見ればYKKのファスナーだってわかるのさ?
YKKのファスナーはスライダー(※後述します)の裏側や引手に刻印が入っています。
基本的なファスナーの知識
ファスナーの部位名称
ファスナーの基本的な部位の名称の説明をします。
写真はメタルファスナーですが、基本的な呼び方はどれも同じです。
ファスナーの種類
コイルファスナー
エレメントがコイル状になっているファスナーです。
金属ファスナーやビスロンファスナーと比べて柔軟性があります。
メタルファスナー
エレメントが金属になっているファスナーで、重厚感のある見た目が特徴です。
ビスロンファスナー
エレメントをテープに射出成形したファスナーです。
エレメントが樹脂製のため同サイズのメタルファスナーに比べ軽量で開閉もスムーズです。
注意!!撥水ファスナーと防水(止水)ファスナーの違い
世の中の防水(止水)と表記して使われているファスナー。
それ、防水じゃなく『撥水』なんです。
これは意外と業界の人でも理解していないば場合が多いです!
でも店頭やネットショップでも「止水ファスナーを使ってます」みたいな売り文句をたまに見かけるよ!?
防水とは「水を防ぐ」こと。止水とは「水を止める」ことです。
でも世の中でよく見られる防水バッグで使われているファスナーは、表面にコーティングを施しただけのファスナー「アクアガード※後述します」であることが多いです。
ここでYKKが販売している撥水ファスナー・簡易防水ファスナー・防水ファスナーを紹介していきます。
撥水・防水ファスナーの種類
撥水ファスナー「Water R」
テープの部分に撥水性を持たせたファスナーです。
一見すると通常のファスナーと変わらないので見分けがつきませんが、水弾きは通常のファスナーと比べて高いです。
確認したい場合は水を数滴垂らしてみるとしっかり水を弾くのでその違いが良くわかります。
撥水ファスナー「AquaGuard®」
アクアガードはテープ部分にポリウレタンフィルムのコーティングを施して撥水性を持たせたファスナーです。
一般的に多くの人が「防水(止水)ファスナー」と認識しているものはこのファスナーです。
コーティングの質感がテクニカルな印象を与え、大変人気のあるファスナーですね。
光沢とつや消しがあり、どちらも性能は変わりませんがテイストが違うのでデザインによって使い分けられています。
テープ部分は確かに水を防ぐのですが、テープとテープの隙間や縫製部分から水が入ってしまうためこのファスナーは防水ファスナーとは謳えないのです。
簡易防水ファスナー「AquaSeal®」
引用元 : https://lyncs.ykkfastening.com/shop/c/cFVF13/
ここから「防水ファスナー」と呼んでも差しつかえないファスナーになってきます。
アクアシールは簡易防水性能を備えたビスロンファスナーです。
柔らかく軽いのでウェットスーツや防水バッグ、介護用浴槽、アウトドア用品に使われています。
高品質樹脂によってこの軽さを実現しており、重さは後述するプロシールの約半分となっています。
ただ気密性と引き換えに開閉のスムーズさは皆無です!笑
防水ファスナー「ProSeal®」
引用元 : https://lyncs.ykkfastening.com/shop/c/cFMF12/
プロシールは特殊なエレメント構造によりテープを隙間なく圧着し、気密性を持たせた水密・気密ファスナーです。
その性能は確かなもので、強い圧力レベルにおいても液体の侵入を十分に防ぎ、気体も通しません。
通常のカバンで扱えるようなシロモノでは無く、化学防護服や液体輸送用タンク、そしてなんと宇宙服に使われるなど超プロフェッショナルな使われ方が多いです。
値段もとんでもなく高かった気がします!!
確かこのファスナー1本の値段でディズニー行けちゃうくらい。(適当)
普通に縫製していたら意味が無い?
上記のファスナー(※Water R以外)を使用している際に見ていただけたいポイントがあります。
それは、どの様にファスナーがバッグに付いているかです。
普通に縫製していたら縫製している箇所から水が侵入してしまいますからね。
少なからず「防水を売りにしているカバン」でこれらのファスナーを使用している際は、以下の2点のいずれかの処理をしていると「お、このバッグはちゃんとしているな!いいバッグだな」と思ってOKです。
圧着or接着している
表面に縫製の糸が無いので、これは見た目でわかりやすいです。
直接生地にファスナーをくっ付けることで隙間を無くすことで水の侵入を防ぎます。
接着方法は接着剤や高周波溶着など様々な方法があります。
シームテープで縫製部分をカバーしている
これは表面ではわかりにくいですので、裏側を見る必要があります。
裏側にして、ファスナー部分を見てみてください。
半透明のフィルムテープの様なもので縫製部分をカバーしているのがわかります。
縫製による糸穴をこのテープでふさぎ、水の侵入を防いでいるわけです。
YKK以外のファスナー
ここまでこれでもかとYKKの宣伝をしてきましたが、もちろんファスナーはYKKだけではありません。
YKK以外で有名なファスナーブランドだと以下になります。
- IDEAL
1936年にアメリカのニューヨークで創業した老舗のファスナーメーカーで、YKKに次ぐ世界2位のシェアを持つメーカー - riri
1936年にスイスのティチーノ州にて創業した高級ファスナーメーカー - TALON
1893年に世界で初めてファスナーを発明したアメリカのファスナーメーカー
今回はさらっとご紹介でしたが、別の機会に改めて深掘りしたファスナーの記事をかけたらなと考えています。
まとめ
とまぁ基本的な話だったけど、いいカバンにはちゃんとした良いファスナーを使っていますよというお話でした。
小さな部分だけどファスナーってカバンにとって大事なパーツだもんね。今回の説明でファスナーに詳しくなれたよありがとう!
今回はYKKのファスナーを中心に、できるだけ要点だけに絞ってお伝えしてみました。
本当はもっともっと色々なファスナーがありますが、だんだんとマニアックな話になってしまうのでこのへんで終わりにしたいと思います。
マニアックな話はまた違う記事でご紹介したいです!
結構コアな話になるかもしれませんが……
最後まで見ていただきありがとうございました。
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