
バッグが汚れてきちゃったから洗濯機で洗おっかな!
最近変な臭いもするし……



Tくん、バッグは洗濯機で洗っちゃダメだよ!
品質の劣化や型崩れしちゃうから。



じゃどうすればいいのさ。
正しいバッグの洗い方なんてあるの?



バッグは素材や汚れに合わせて正しくケアしてあげなくちゃいけないんだ!
Tくんに正しいバッグの洗い方と手入れ方法を教えてあげるね!
みなさんもお気に入りのバッグを使っていてこんな経験ありませんか?
- バッグを汚してしまった
- バッグから変な臭いがする
- 手入れを怠って傷んでしまった
基本的に多くのバッグは素材も作りも丈夫なので簡単には壊れません。
なのでついついラフに使ってしまいがちですが、そんな丈夫なバッグもケアを怠ると段々と痛んできます。
不摂生を続けると体調が悪化してしまうのは人もバッグも一緒です。
ただ正しい知識と日々のケアを行うことで見た目はもちろんのこと、バッグの寿命も格段に長くなります。
せっかく手に入れたお気に入りのバッグを少しでも長く使えるように、ここではバッグとのベストな付き合い方を紹介します!
この記事を読むことで次のことがわかるようになります!
- バッグの汚れの落とし方
- バッグを長持ちさせる正しいお手入れ方法
- バッグをダメにしてしまう行為



それではさっそく紹介していきましょう!
- 現役のバッグデザイナー
- バッグデザイナーとして15年以上
- 担当アイテムはスポーツやアウトドア系のバッグ
- カバンの総合情報ブログ「カバンの図書館」運営中


ぽんず♂
始める前に
まずはバッグの素材を知る
汚れてしまったあなたのバッグ、素材は何か分かりますか?
※分かる方は次の「汚れの落とし方」に進んでいただければOKです!
素材を知っておくだけで、日頃注意しなくてはいけない部分が見えてきます。
素材によって汚れの落とし方も変わってきますので、念のため把握しておいた方が良いでしょう。
もしわからない場合はバッグの内側に付いている「インナーラベル」を確認してください。



コットンぽいなーと思っても化繊(ナイロンやポリエステル)の場合がありますのでご注意を!
インナーラベルを見てみる
バッグの内側には基本的にインナーラベルが付いています。
メーカーによって記載内容は様々ですが、そこに使用している生地が書いてあることがありますので確認してみましょう。


インナーラベルに生地情報が無い場合
ラベルに生地の記載がない場合は、製品のホームページで確認をしてみましょう。
もしくは、購入時に付いていた製品タグがあればそこに記載されている可能性もあります。
素材別 汚れの落とし方
ここでは素材別に汚れの落とし方を紹介していきます。
化繊系(ナイロン・ポリエステル)
一般的にレザー製品より安価で、軽くて丈夫な化学繊維。
幅広いジャンルで活躍する生地ですが、火や熱には弱いという性質があります。
そしてもちろん汚れた際には素早いケアが必要です。
ここでは化繊系の汚れの落とし方を紹介していきます。
消しゴムで汚れをとる
意外かもしれませんが、表面上の簡単な汚れなら消しゴムで落とすことができます。
力を入れ過ぎると生地が傷んでしまうので、様子を見ながら軽めにこすってください。


布で軽く叩くように拭く


中性洗剤を水に溶かしたものに柔らかい布を浸し、かたく絞って軽くポンポンと叩くようにして拭いてください。
濡れた生地でこすってしまうと汚れが繊維の奥に入り込んでしまい、余計に取れなくなってしまうのでやめましょう!
キャンバス(コットン)
綿糸を平織した、昔から使用されてきた伝統的な生地です。
ナチュラルさと堅牢さが特徴で、トートバッグに使われているイメージが強いコットンキャンバス。
素材の特性上、化繊系の生地よりも火や熱に強い特性があります。
※あくまで「化繊系と比べて」のお話です。
ただし色落ちがしやすいので、雨や汗でバッグが濡れてしまった時は衣類に移染してしまう恐れがあるので注意が必要です。
布で軽く叩くように拭く


こちらも化繊生地と同様、中性洗剤を染み込ませた布をかたく絞り、叩くように汚れを落とします。
擦ると色が落ちてしまう可能性がありますので、こすって拭くのは厳禁です。
汚れが落ちるまで根気よくポンポンと叩き落としましょう。
合成皮革・ターポリン(PU・PVC)
合成皮革・ターポリンは表面がビニールのようなもので出来た生地です。
厳密には2つとも異なる生地なのですが、大きな共通点が1つあります。
それは表面が繊維では無いということ。
表面がビニールの様なものなので防水性と防汚性に優れた点が特徴です。
ですので上のにパターンとは違った汚れの落とし方が可能になります。
濡れタオルでガンガン拭く&乾拭き


合成皮革の表面は基布の上にPU or PVC加工された生地ですので水や汚れに強いです。
ですので濡れたタオルで汚れをガンガン拭き取ってください。
そして汚れが落ちたら必ず乾拭きをしてください!
消しゴムで汚れをとる
化繊でも紹介しましたが、部分的に目立った汚れがある場合は消しゴムが有効です。
表面が繊維では無いのでむしろこっちの方が消しゴムで消すのに向いているでしょう。
ただ強く擦ると生地に悪影響なのは繊維と一緒です!
使用する際は軽く擦って汚れを落としましょう。
本革
本革に関しては別の機会に詳しく説明します。
臭いが気になる時の対処法
臭いの発生理由は主に4つ
購入時から変な臭いを放つことは無いので、臭いがするとしたら購入してから何ヶ月〜何年か経ってのことかと思います。



※古着屋やリサイクルショップで購入したものは別ですよ?
臭いの発生理由として考えられる理由は、大きく分けると以下の4つが可能性として挙げられます。
①汗や汚れが原因の場合


汗や汚れが付いた衣類などを入れたバッグを放置すると生地に臭いが移ります。
またはバックパックやボディーバッグ、トートバッグなど体に密着させて使うバッグも要注意!
体に接した箇所に汗が染み込んでしまったり、汚れてしまったりすることで臭いが発生する原因になってしまう恐れがあります。
②タバコや飲食店が原因の場合


タバコの煙や、飲食店(居酒屋や焼肉屋)などに持って行くことが原因で臭いが付いてしまうことはよくあります。
タバコの臭いが気になる場合は煙から遠ざけるようにしましょう。
あと飲食店の種類によっては持ち込むのは控えた方がいいかもしれません。
焼肉屋や居酒屋は焼き物などの臭いが強いですので、お気に入りのバッグは持ち込まないことをおすすめします。
③カビやホコリが原因の場合


湿気が多く陽の当たらない場所にバッグを保管したり、濡れた状態を放置していると発生する臭いです。
それ以外にバッグの中に溜まったホコリが原因になる場合も。
単純にホコリ臭くなるというのもありますが、湿気を吸い込んだバッグの中でホコリをエサに雑菌やカビが繁殖するケースもあるそうです。
①②③の対処法
①②③の対処法は以下のいずれかが効果的です。
臭いの強さによっては複数試してみることをおすすめします。
臭いの原因に合わせて試してみましょう。
重曹を使って拭く
汗などが原因で汚れてしまった場合に効果的です。
重曹にはアルカリ性の性質を持っており、汗や皮脂の酸性を中和して無臭の中性に変えることができます。
重曹を溶かした水に布を浸し、かたく絞ってからバッグの外や中を拭いてください。
重曹は乾くと白い粉になって残ることがあるため、再度きれいな布で水拭き→乾拭きしてください。
※表面がザラザラするような毛羽立つ生地の場合、タオルで擦ると布の繊維がくっついて残ってしまう恐れがあります。
出来ればハンカチくらいの生地で拭いてあげるか、タオルしかない場合は叩いて拭いてください。
消臭剤を使う
外側か内側かによって様々なタイプの消臭剤があります。
バッグの外側に付いた臭いが気になる方にはスプレータイプの消臭剤が効果的です。
衣類にも使えるタイプの消臭剤なら生地を傷めることもないですし、効果も確かなのでオススメです。
内側の臭いが気になる方にはバッグの中に入れておくタイプの消臭剤があります。
バッグの中に入れておくだけで汗やタバコなどの臭いを吸着分解してくれ、手軽に消臭対策ができます。
持続効果も1〜2年と長く、中には除湿効果も付いている消臭剤もあります。
取り換えなどの手間が少なく済むのもメリットです。
ホコリやゴミを取り除く
バッグからホコリっぽい臭いがするときは、ホコリをきれいに取り除きましょう。
ホコリを掃除することで臭いも除去でき、雑菌の繁殖を予防することもできます。
バッグ中身をすべて取り出し、ブラシで内側を掃除します。
陰干しをする
濡れた荷物や水気のあるものを入れっぱなしにしたり雨の影響を受けたりして、バッグに湿気がたまって臭いの原因になっていることもあります。
その様なときは陰干しして湿気を飛ばしましょう。
陰干しをするのは風通しのよい場所がオススメです。
乾きやすいからといって直射日光が当たる場所に置くのは避けましょう。
バッグの素材が傷んだり変色したりする原因になるため注意してください。
④生地が加水分解をおこしている
生地の裏加工であるPUが加水分解をおこし、それが臭いの原因になっている場合もあります。



加水分解ってなに?



ここでいう加水分解とは、写真のようにコーティングが剥がれたりベトついたりすることだよ!


化繊系のバッグ(特にアウトドアメーカーのバッグ)に使われている生地には、裏側にPU(ポリウレタン)コーティングをかけています。
これは生地に強度を持たせるための大切なコーティングなのですが、水分を含むと加水分解を起こし、劣化をしてしまいます。
劣化をすると、コーティングが剥がれてしまったり、ベトベトしたり、変な臭いを放ったりすることがあるのです。
「臭い荷物なんか入れてないよ!ぷんぷん!!」という方は、バッグの内側の生地を確認をしてみてください。
上記のような状態になっていたら加水分解を起こしている証拠になります。
※ちなみに上の写真の様に表の生地の裏面が露出している場合は確認できますが、内生地を張っている場合は確認は難しいです。
④の対処法
加水分解は空気中の水分からでも起こりますので、防ぐことは不可能です。
この状態になってしまったということは「生地の寿命がきた=バッグの寿命がきた」と考えてください。
たまに「撥水スプレーをかければいいんじゃないの?」という方がいるのですが、それは間違いです。
撥水は生地の「外側」にかけるもので、「内側」であるPUコーティングの役割は生地強度と耐水圧です。
この辺の話は主旨とズレますので割愛しますが、ともかく加水分解を起こしたらそのバッグは終わりの始まりを迎えています。
加水分解を直す方法はありません。
ただし、発生を出来るだけ遅らせることは出来ます。
遅らせる為に出来ることを次の「ベーシックケア」と「やってはいけないこと」で紹介していきます。
ベーシックケア(定期的なお手入れ)をしよう
ベーシックケアといっても特別ムズかしいことをするわけではありません。
大きく分けて以下の5つのポイントを押さえれば良いのです。
- 使用後の乾拭き
- 定期的なブラッシング
- 撥水スプレーの使用
- 潤滑スプレーの使用
- 保管方法の気遣い
では個別に見ていきましょう!
使用後の乾(から)拭き


主に革や合皮製バッグの、基本的なお手入れ法です。
定期的に表面を柔らかい布で優しく拭いてあげてください。
表面の汚れやホコリをとることでダメージを最小限に抑えることができます。
定期的なブラッシング


どのような生地にも大切なお手入れ法です。
乾拭きでは取れない汚れやホコリをブラッシングでかき出します。
ちなみにブラッシングで使うブラシは硬すぎず柔らかすぎずの豚毛がベストです。
コツは生地の目に合わせて軽くブラッシングすること!
これだけで生地の痛みを防ぎ、長持ちさせることができます。
全体を軽くブラッシングした後は、ファスナー周りやステッチの溝などもブラッシングすると良いでしょう。
特にファスナーは開閉に関わる箇所なので入念に!
細かい部分には歯ブラシを使用するのもオススメです。
そしてたまにでいいのでバッグの内側もブラシをかけてあげましょう。
バッグの中も日頃の使用でゴミやホコリが入り込んでしまいます。
縫い目や角などゴミがたまりやすく、かつブラシがかけにくい箇所はバッグをひっくり返すとブラシがかけやすくなります。
撥水スプレーの使用


購入後またはクリーニング後には撥水スプレーをかけることをオススメします。
「撥水性」を持たせるだけでなく、油や汚れが付きにくくなる「防汚性」も持たせることでダメージを軽減することができます。
スプレーをかける際は20〜30cm離して、まんべんなく吹きかけること。
近すぎるとシミの原因になるので注意しましょう!
スプレーは「週に1回がオススメ」と某Y田カバンの方が言っていましたが、使用頻度によってはもう少し間隔が開いてもいいとは思います。
潤滑スプレー(ペン)の使用


これは特にメタルファスナーを使っているバッグには必須です。
コイルやビスロンと違い、メタルファスナーは金属ですので使っていると滑りが悪くなってきます。
そこでこの潤滑スプレー!ファスナーが買ったあの日に蘇ります!!
スプレータイプとペンタイプがありますが、個人的には使い分けています。
・スライダーに使いたい時はスプレータイプ
※写真の様にノズルをつけて使うと便利です。
・エレメントに使いたい時はペンタイプ
※スプレーだとテープや生地に付いてシミになってしまう可能性があるため
ただ性能は同じですので好みで選んで良いでしょう。
保管方法の気遣い


使わないバッグはちゃんと休ませてあげましょう。
保管時は通気性の良い布に入れ、直射日光の当たらない通気性の良い場所を選んでください。
湿度が高い場所はカビが発生する恐れがありますので、避けるか除湿剤を配置するなどしましょう。
新聞紙を丸めて詰め物にするのもオススメです。
新聞紙は湿気を吸収してくれるのと同時に型崩れも防止してくれます。
保管スペースに余裕があれば新聞紙を入れることをオススメします。
これは危険!!やってはいけない4つのこと
バッグと長く付き合い続けるにお手入れが基本ですが、バッグにダメージを与えてしまっては本末転倒です。
ここではバッグにダメージを与えてしまう「やってはいけないこと」を4つ紹介していきます。
- 洗濯機に入れる
- 濡れたまま放置
- ベンジン・シンナーなどの使用
- 熱・高温の場所に置かない
洗濯機に入れる
全体的にバッグが薄汚れている場合、「思い切って洗濯機にぶち込んでしまおう!」と思う気持ちはわかりますが『絶対にダメ』です!
ダメな理由は以下の通りです。
- 加水分解をしてしまう
- 生地が収縮してしまう
- 洗濯機に傷が付く



順番に説明していきましょう。
❶加水分解してしまう
臭いのくだりでもお話したあの加水分解です。
加水分解そのものは防ぎようのない化学反応なので仕方が無いのですが、水に漬けることでこの反応を促進してしまうのです。
洗濯機に入れる・水でジャブジャブ洗うのは避けましょう!
❷生地が収縮してしまう
バッグの表生地と裏生地は異なる生地を使用しているので収縮率が異なり、型崩れの原因になります。
一度崩れた形は元に戻りません。
❸洗濯機に傷が付く
バッグは生地の他にプラスチックや金具など様々な資材を使用していますので、これらが洗濯機の中で暴れ回り洗濯機の故障に繋がりかねません!
濡れたまま放置
濡れたまま放置しておくとシミやカビ、色落ち、型崩れや加水分解が進む原因になります。
バッグにとっては大ダメージですので、突然の雨や、間違って水で濡らしてしまったらすぐ乾拭きして通気が良い場所で乾かしましょう。
ベンジン・シンナーなどの使用
汚れを落とすためにベンジンやシンナーを使うのは危険です!
汚れとともにバッグの色まで落ちてしまう可能性が高いのでやめましょう!
熱・高温の場所に置かない
特に化繊系の生地は熱に弱い素材です。
生地や資材が傷んでしまうので、高温になりそうな場所には極力置かないようにしましょう。
まとめ
今回ご紹介した内容以下の通りです。
素材別の汚れの落とし方
臭いが気になる時の対処法
ベーシックケア(定期的なお手入れ)をしよう
バッグに対してやっていけないこと
この記事を読むことで、あなたのお気に入りのバッグの寿命は読む前と比べて何倍にもなっているかと思います!
SDGsの観点からも、一つのバッグを長く使っていただけるとバッグデザイナーの端くれとして願ってやみません。
他にもバッグに関する様々な情報を発信しているので、気になる方は覗いていってみてくださいね!






にほんブログ村
コメント
コメント一覧 (1件)
記事を拝見させていただきました!
バックの生地がこんなにたくさんあるとは知りませんでした。
また、それぞれの生地に合わせた対処方法を写真付きでの説明だったのですごく分かりやすかったです。
眼から鱗の情報ばかりで、とても勉強になりました!