生地でよく見るD(デニール)とは? 現役バッグデザイナーが分かりやすく解説

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デニールとは

カバンをみていると商品説明に

例) 本体生地 : ナイロン420D×ポリエステル600D
例) 本体生地 : ナイロン840D×ポリエステル900D

などと書かれているのをみたことないでしょうか?

ぽんず

私も今の仕事をするまでは「よくわからんけど数字が高い方が良いのかな」位にしか思っていませんでした。

数字の後ろに書かれている「D」

これは「デニール」と言って糸の太さ=生地の厚みを表す単位です。

この記事ではカバンや衣服などの素材表記で必ず使われるデニールについて解説していきます。

目次

デニール

デニールとは

デニール (Denier)とは繊維や糸の太さを表わす繊度の単位です。

長さ9,000mの糸に対し、重さが1gのものを1Dと表現します。

なので
420D = 長さ9,000mの糸に対し、重さが420g
840D = 長さ9,000mの糸に対し、重さが840g
ということになります。

同じ長さに対して重量が多い。

数字が上がる分、糸が太くなるということですね。

糸が太いということは、その糸で織られた生地は厚く仕上がります。

つまりカバンにおいてのデニール数というのは「生地の厚み」のことを表現しているのです。

「太さ」であるにも関わらず、繊維の直径の実測値ではなく、なぜ重さで表すか不思議ですよね。
これには諸説あり、
「柔らかいから測定時に潰れてしまう」「真円では無いから」「太さにバラツキがある」「ほとんどの糸が複数本から出来ているため断面に空間がある」
等々の様々な理由があるようです。

製品で見るデニール数の違い

では実際にデニール数と製品の見え方を写真で紹介していきます。

以下では3つの製品をピックアップしました。

これらの製品を比較することで、デニール数とカバンの関係がわかりやすく伝わると思います。

※このデニール数以外にも世の中たくさんあるのですが、市場への流通量や認知度、比較しやすさからこの3つを選ばせていただきました。

ナイロン30D

引用元 : グラナイトギア
パッカブルなどに最適な生地感

ナイロン420D

引用元 : コロンビア
強度と軽量感のバランス◎

ナイロン1050D

引用元 : ブリーフィング
強度や耐久性,耐摩耗性に優れたバリスティックナイロン



この様に、デニール数が低いほど軽量感があり、高いほど重厚感があるのがわかると思います。

デニール数によって同じ繊維でも全く異なる表情をもっているので、カバンを見る際の目安としてぜひ覚えておいてください。

デシテックス

実はデニール以外にも糸の太さを表す単位があります。

それはデシテックスといい、繊維や糸の太さを表すSI単位です。

実はISO(国際標準化機構)ではテックスを推奨していますが、現状ではデニールが表記が一般的に用いられています。
デニールをデシテックスに置き換えたい時は「デシテックス=デニール×1.11」で求めることができます。

表記は「〇〇dtex」もしくは「〇〇T」になり、呼び方は○○デシテックスです。

長さ10,000mの糸に対し、重さが1gのものを1dtexと表現します。

なので
420dtex = 長さ10,000mの糸に対し、重さが420g
840dtex = 長さ10,000mの糸に対し、重さが840g
ということになります。

本来”テックス”は1,000m当りのグラム数なのですが、10分の一の意味の”デシ”をつけて10テックス=100デシテックスとあらわしています。

ネット上の雑な解説にご注意

たまにネット上で誤解をまねきやすい、少し雑な情報を発信していることがあります。

例えば「210D」で調べた際に出てきた回答の一つががこちら。

Q : 「210D」「210T」の違いは何ですか?
A : 「210D」は、各糸が210本の糸の繊維で構成されていることを意味し、糸の繊維の厚さを指ます。 「210T」は布の密度を意味し、すなわち単位の長さあたり210本の糸を含みます。 

はい、まず210Dは210本の糸で構成されたものではありませんね。

上述したとおり、210Dは長さ9000mの糸に対し、重さが210gの糸で織られた生地のことを指します。

さらに210Tの答えですが、これは実は間違いではありません。

おそらくこのTはテックスではなく、生地密度を表す「タフタ」のことをいっているのでしょう。

間違いではないのですが問いに対しての回答としてはやや説明不足で、誤解を招きかねないアンサーだなという印象です。


他にも

一般的にナイロンはT(タフタ)、ポリエステルはD(デニール)で表します。

と書かれているのを見かけたことがありますが、これも極端な答えになっています。

ナイロンやポリエステルで単位を区別することは無いです。

N210DもP600Dも普通に存在しますからね。

この答えだとN210Dという表記は一般的では無いとなりますが、色んなカバンのサイトを見ていただければこのアンサーのおかしさがわかると思います。

などなど、このようにまったく間違いではないけれど、少し雑な解説をしているサイトやコメントがたまにありますので、この記事をみている皆さんには正しい知識をもって正しく製品に接していただきたいと思っております。

まとめ

以上がカバンの基礎知識の1つであるデニールの解説でした。

「40Dだとこのくらいの感触かな。かなり薄くて軽そうだ!」
「この生地は1000Dか、かなりしっかりしているカバンだな!」

こんな感じでデニールがわかれば文面の情報だけでカバンの生地感や厚みが大まかに想像ができるようになります。

例えばネットで買い物する時になんかではこの知識が役立ちます。

ネットでは現物を手に取ることが出来ないので、そんな時に製品情報に記載されているデニール数を見ればどのようなカバンかなんとなくイメージをわかせることができるのでとても便利です。

もしこの記事で少しでも興味を持っていただけたならご自宅のカバンやお店のカバンのデニール数と生地感を比較してみてください。

生地とデニール数の関係を目と手で覚えることができれば、きっと今以上にカバンの魅力を知っていただけるのではないかなと思います。

最後までみていただきありがとうございました。

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