この「至高の逸品シリーズ」は、ぽんずが後世に語り継いで行きたいバッグを現役バッグデザイナーである私の独断と偏見で選んで紹介するという企画です。
世の中バッグの人気ランキングや、名品の紹介をしているブログは数多くあると思います。
が!!ここではあえてそれに加え、一世を風靡したが今では見られなくなった「あの人は今」的なバッグ、個人的に好きで思い入れのあるバッグなども紹介して行きたいと考えております。
- 現役のバッグデザイナー
- バッグデザイナーとして15年以上
- 担当アイテムはスポーツやアウトドア系のバッグ
- カバンの総合情報ブログ「カバンの図書館」運営中
ぽんず♂
選考基準は以下の通りです。
- 誰もが一度は見た事がある長く愛されるロングセラーバッグ。
- 初めて見た時に衝撃を受けたバッグ。
- 場所は限定されるが、特定の場所ではよく見るバッグ。
- 一世を風靡したバッグ。
それでは早速紹介して行きたいと思います。
「GREGORY -DAY PACK(デイパック)-」
引用元 : https://www.gregory.jp/item/detail/DAYPACK_I84_1/1041
DAY PACK(デイパック)とはどんなバッグ?
ラウンドしたフォルム、右下がりのフロントポケット、肉厚なバータイプのショルダーハーネス、大きいレザーの引手。
アメリカのアウトドアブランド「グレゴリー」から販売されるこのバッグ、誰もが一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
このバッグは1970年代後半に生まれ、小さなアップデートを重ねながらも今に至るまでほぼ形を変えることなく作られ続けるまさに「マスターピース」です。
ほぼ同じ時期に誕生した「デイ&ハーフ」と並ぶ、グレゴリーを代表するロングセラーアイテムです!
ここがすごいよ「デイパック」
大ぶりのレザー製引手
引用元 : https://www.amazon.co.jp/グレゴリー-バックパック-デイパック-コーデュラバリスティック-ネイビー/dp/B08THDGCK6/ref=d_pd_vtp_sccl_2_1/357-6572877-4430815?pd_rd_w=Ii8bp&content-id=amzn1.sym.cbb45385-7b99-44b7-a528-bff5ddaa153d&pf_rd_p=cbb45385-7b99-44b7-a528-bff5ddaa153d&pf_rd_r=VYDKC7Q07ZXGM00H6JXS&pd_rd_wg=OxZ0e&pd_rd_r=4841a955-c1f4-47c3-bf0a-7d8a0ab04f8e&pd_rd_i=B08DG7BR1M&th=1
レザーの引手は今でこそ一般的な引手ですが、元はグレゴリー創業者ウェイン・グレゴリー氏が考案したもの!
引きやすさはもちろんのこと、デザイン上でも重要なアイコンになっています。
使いやすい斜めのフロントポケット
引用元 : https://www.amazon.co.jp/グレゴリー-バックパック-デイパック-コーデュラバリスティック-ネイビー/dp/B08THDGCK6/ref=d_pd_vtp_sccl_2_1/357-6572877-4430815?pd_rd_w=Ii8bp&content-id=amzn1.sym.cbb45385-7b99-44b7-a528-bff5ddaa153d&pf_rd_p=cbb45385-7b99-44b7-a528-bff5ddaa153d&pf_rd_r=VYDKC7Q07ZXGM00H6JXS&pd_rd_wg=OxZ0e&pd_rd_r=4841a955-c1f4-47c3-bf0a-7d8a0ab04f8e&pd_rd_i=B08DG7BR1M&th=1
斜めにカッティングされたフロントポケットは単なるデザイン上の理由だけではありません。
限られた横幅内でも出来るだけ手を差し込みやすくするための工夫でもあるのです。
超肉厚なショルダーハーネス
引用元 : https://www.amazon.co.jp/グレゴリー-バックパック-デイパック-コーデュラバリスティック-ネイビー/dp/B08THDGCK6/ref=d_pd_vtp_sccl_2_1/357-6572877-4430815?pd_rd_w=Ii8bp&content-id=amzn1.sym.cbb45385-7b99-44b7-a528-bff5ddaa153d&pf_rd_p=cbb45385-7b99-44b7-a528-bff5ddaa153d&pf_rd_r=VYDKC7Q07ZXGM00H6JXS&pd_rd_wg=OxZ0e&pd_rd_r=4841a955-c1f4-47c3-bf0a-7d8a0ab04f8e&pd_rd_i=B08DG7BR1M&th=1
トレッキングでの環境を想定したハーネスのため、ヘタれにくいEVAを採用しています。
しかも超肉厚!この肉厚EVAが抜群のクッション製を実現しています。
「くの字」になる背面パネル
引用元 : https://www.amazon.co.jp/グレゴリー-バックパック-デイパック-コーデュラバリスティック-ネイビー/dp/B08THDGCK6/ref=d_pd_vtp_sccl_2_1/357-6572877-4430815?pd_rd_w=Ii8bp&content-id=amzn1.sym.cbb45385-7b99-44b7-a528-bff5ddaa153d&pf_rd_p=cbb45385-7b99-44b7-a528-bff5ddaa153d&pf_rd_r=VYDKC7Q07ZXGM00H6JXS&pd_rd_wg=OxZ0e&pd_rd_r=4841a955-c1f4-47c3-bf0a-7d8a0ab04f8e&pd_rd_i=B08DG7BR1M&th=1
背面パネルを二つに分け、背中の凹凸に沿うようなフィット感を可能にしています。
「人間の背中は平坦ではない」という点に着目し考えられたディテールです。
三日月型のボトムパネル
引用元 : https://www.amazon.co.jp/グレゴリー-バックパック-デイパック-コーデュラバリスティック-ネイビー/dp/B08THDGCK6/ref=d_pd_vtp_sccl_2_1/357-6572877-4430815?pd_rd_w=Ii8bp&content-id=amzn1.sym.cbb45385-7b99-44b7-a528-bff5ddaa153d&pf_rd_p=cbb45385-7b99-44b7-a528-bff5ddaa153d&pf_rd_r=VYDKC7Q07ZXGM00H6JXS&pd_rd_wg=OxZ0e&pd_rd_r=4841a955-c1f4-47c3-bf0a-7d8a0ab04f8e&pd_rd_i=B08DG7BR1M&th=1
上記のくの字背面パッドはそれ単体では完結しません。
底マチの形状を三日月型にし、それと重なり合うことで機能を発揮。
背面への極上のフィット感を生み出しています。
センターロックステッチの発明
力がかかる部分などには「センターロックステッチバータック」で縫製されています。
横一文字の縫い方で、[中央→右端→左端→中央に戻る]という軌跡で重ね縫いする頑強な縫製方法です。
表面上のデザインもさることながら、体に沿う形状やセンターロックステッチのような考えられたディテールもこのバッグの画期的なところです。
「デイパック」が与えた影響
バッグデザインに多大な影響を与える
誰もがその存在を認知するこのバッグ。
もしかしたら記憶にあるそのバッグは、グレゴリーのバッグでは無いものも混じっているかもしれません。
何故ならこのバッグのデザインは様々なバッグメーカーやアパレルメーカーに影響を与え、このデザインを模倣して来たからです。
素材を変え、ディテールを変え、ネームラベルを変えてもやはりそこには「グレゴリーのデイパック」の面影を見ることができます。
引手にしても、素材は違えどあのデザインはどのブランドでも参考にしています。
私も仕事で「グレゴリーのバッグみたいなやつデザインしてよ」と言われたことがあります。
おそらく同業の方なら一度はこのバッグを模したデザインを描いているのでは無いでしょうか?
「デイパック」という形の概念をつくる
デイパックというのはグレゴリーの製品名であるのと同時に、一般的には形状の名称としても知られています。
他ブランドからも「〇〇Day Pack」という名前で製品が出ていることがありますが、そもそもの名付け親は「グレゴリー発」であるという説が有力です。
これって凄いことだと思いませんか?
だって一つの象徴、概念を作ってしまう訳ですからね。
昔とある雑誌でグレゴリー氏がこんなコメントを残していました。
『中型のバックパックを「デイパック」と呼ぶのは今でこそ一般的だけど、私達は昔からこの表現を使ってきた。
きっかけは本モデルを購入してくれたある友人の一言。
「1日分の荷物を持ち運ぶのにちょうどいいから」と。
以来ずっとこのモデル名で呼んでいるんだよ』
すごいです!
「最初はグー」を作ったドリフ並みにすごいことです!!
まとめ
面白いことに、このバッグを街でも使い始めたのは日本が最初だそうです。
デジタル機器やスポーツ用品など重い荷物を運ぶ人々がその快適さに着目し、使い出したことがきっかけだと前に雑誌で見たことがあります。
そしてヘビーデューティな見た目がファッション的にも人気を得て、アメカジ好きの定番になり、今では持ち手を選ばない定番アイテムへと発展していきました。
シンプルかつ極めて完成に近いアイテムであるが故に、おそらくこの先数十年も姿を変えることなく定番として存在し続けるのだと私は思います。
以上が「グレゴリー デイパック」の紹介になります。
最後まで見ていただきありがとうございました!!
にほんブログ村
コメント